プロバイオティクスがもたらすもの
記録をさかのぼってみると、人類は発酵という技術を利用して、食品の保存期間や食材の栄養素を最大限に活用してきました。
例えば、保存期間の短い食品、特にラクダ、水牛、ヤギ、羊、牛のミルクなどを、自然に発酵させて酸味のある飲み物を作るようになりました。
歴史を紐解くと、最初のヨーグルトの一部は、北アフリカの暑い砂漠でラクダの背中に掛けられたヤギ皮の袋で製造されたことがわかります。
40℃に達する温度は、乳酸を生成する細菌が活動するのに理想的だったのです。それ以来、多くの文化で、新しい風味を開発し、保存期間を延ばすために、さまざまな種類の発酵食品が生まれました。
発酵食品には栄養面や薬膳としての歴史があり、世界中の長寿文化の多くで、健康的な生活を維持するために何らかの形の発酵食品が使用されています。
カシミヤで有名なフンザやの東ヨーロッパのグルジア人は、驚くべき長寿の歴史で注目を集めています。どちらの文化でも、食事の重要な部分として発酵食品が食べられています。
この地方では、100 歳を超えても男性がポロなどの競技に参加したり、女性が農場で働くことは珍しくありません。ヨーグルト、発酵チーズ、味噌、テンペ、ザワークラウト(発酵キャベツ)などの発酵食品は、低温殺菌されていない限り、消化器系に有益な細菌をもたらすのです。
発酵食品が人間の健康にどのように重要な役割を果たしているかを示す科学的証拠を探す研究が、近年盛り上がってきています。
健康と福祉バランスのを保つには
人間の腸管に常在する細菌群集が胃腸機能に大きな影響を与え、ひいては人間の健康と幸福に大きな影響を与えることは一般に知られるようになりました。
現代の生活習慣に関連する慢性疾患は、多くの場合、免疫システムの機能不全に関連しています。 有益な乳酸菌の数を増やすことで、消化器系の健康を改善することができます。
健康な腸管は、病原性、病気の原因となる微生物の過剰な定着を防ぐために、85%の「善玉菌」が必要といわれています。
また、妊娠中の母親や乳児期の子どもの食事が、インスリン抵抗性、2 型糖尿病、肥満、脂質異常症、高血圧、心血管疾患などの成人期の慢性疾患の発症に長期的な影響を与える可能性があることも研究で示されています。 これらの研究は、瀬克習慣病の予防におけるプロバイオティクスの重要性も指摘しています。
プロバイオティクスの医学的利点
医学研究によるとプロバイオティクスは:
・栄養素の同化作用を促進する
・免疫システムを強化する
・酵母感染症に対する抵抗力を高める
・ビタミンB群(ビオチン、ビタミンK)の製造
・過敏性腸症候群(IBS)の症状を軽減する
・腸内の毒素や化学物質を解毒する
・膣生態系の正しいpHバランスを維持する
・高血圧を軽減する
・血中のコレステロールを減らす
・がんまたは腫瘍を抑制する化合物の生成
・子供の自閉症とADHDに関連する行動を改善する
・肝機能を保護する
・病原性細菌による毒性の過剰負荷を軽減する
・大腸がんのリスクを軽減する可能性がある
・排泄と解毒を助ける
・腸内のガスを軽減する
・乳糖不耐症の症状を軽減する
・アレルギーの有病率を減らす
このような効果が示されています。
しかし、乳酸菌発酵食品による健康上の利点を得るには、生きた活性菌を定期的に摂取する必要があります。
次回は、プロバイオティクスも大きく関係する腸内フローラについてお話しします。